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心の花 2014年1月投稿 8首

金胡麻のさやはじけたり大地揺れフェンスのさきで軍用機墜つ

あぶりえに浮き上がりくる牙のない白象の眼に涙かわきぬ

Minamataの海で生まれてFukushimaへ瑞の邦のわれらの体液

エビアン水できるはずなく名ばかりの汚染処理器はアルプスという

字足らずに鳧をつけるにあらずともわれら日系かたみ狭くて

ツーロンの軍艦静かに錨あげ西風を背に人を殺しに

きのこ狩る目をさらにして銃響き種として追われ斃れし人ら

孤児の背に手をおきながらカメラみるそんなウソでも美しくみゆ




心の花 12月投稿 8首

かすめきて息づきほのか飛鼠(こうもり)が愛しいひとのうなじ掻き喰う

ふりむけばすでに暗がり 先ほどの醜女来し坂とばりの裏に

出雲の海(み)海鳴りごとき声のする地の底の女(ひと)われをいざなう

静けさが比良坂の穴を蔽いきて平たい背中のわれをひとつき

杖をくれ そうつぶやきて掴みしはまだ温かき骨のごとくも

見夜の森とぎれたあたりに本気あり声はくぐもりしずかに地を掘る

おおちちもおおははもいる渓の地に闇のこごりて体温低し

あざやかな緋色の髑髏まんらんに黄泉に蝶の生まれきたりて
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「心の花」2013年11月号掲載歌*

臓腑(トリップ)のならぶ肉屋のゆびふとしいわずもがなわが父にあらず

虹のない空をとびたて水のない大河をこえよ東欧ツバメ *

八月の船はマルシリアはなれゆく蟻も我らも拒まれてのち

海辺には魚の出る日川ひかる千の祖国に父母(ちちはは)与えよ

海辺には魚の死ぬ日腹ひかる千の祖国に父母(ちちはは)与えよ
    (変更後「リヨン短歌賞」第三席)

水槽に蟻を飼いつつ夢見しがガラスの向こうで海立ち上がる *

夏の海移民のひらぶねのみこみぬ千本の腕杭のごとく立ち *

足首に包帯黒き少年の夏は消えゆく酸っぱい光で *

ひとりきて君もかくれて泣きたいか百舌鳥(もず)のごときロマの少女よ

***

草の実をしっぽにつけて朝帰る鼻いきあらし若いオス猫

母なくてわずかに暗く咲きにけりこの雛罌粟もあの曼珠沙華も

骨盤にひびくねいろは野をわたる雁のなきごえ 恋いしかりけり  

ティラミスの約束のごと ここちよく甘くはかなく騙されたくて  

北を指す老人(おいびと)のゆび先にきて つかずはなれずゆれる光明(あかるさ)

しろきほほ髪おち眼窩に陽崩れゆくイチゴタルト好きでしたよね

いざ討たん たまらん坂は霧に消えいまだみずとも城に姫あり

白鳥はホンモノにあらず 線路沿いまたふたたびの青い城(ブルー・シャトウ)へ

堕落したき若者まねてあるきたし渋谷の夜の二十二時過ぎ

弔いのあけた翌日旧友が来て除草剤まかぬというワイン飲む



2013・10月号「心の花」提出歌

 ふみづきの暑き一日、義姉の野辺送りにて

はつ孫にみおくられゆくとむらいにスコール雨がどろ水を撥ね

七人の姉妹の長女なれば野辺送りもどこか華やからしく

糸杉の木陰にあつまり最期の別れのわれらはバスを待つらし

乳飲み子の声いちだんと強くなり糸杉の影が密かに伸びぬ

黒ネクタイ曲がって結びし穴掘りは先ほどまでは羊飼いなり

輪をつくり穴を囲んでスクラムす 死人をまえのセカンドハーフ

若き喪主 穴の深さにひるみたり あおぐ視線に鳥の糞おつ

墓穴に投げ込む薔薇の百一輪詰めた息の裏側を墜ちぬ
「心の花」2013-9月号掲載 *

*移住したライオン一家の初散歩 ひとりやふたりは食ってやろう

砂漠からの移民の子らのまるい肩 海の向こうにアフリカ棄てて

ぐんぐんと躰が空にすいあがる エッフェル塔の空気頭よ

わかば透け陰影ふかきひとみにはよろこびのうた ケルトのたて笛

*とむらいの袖を濡らせば五月雨の雲は流れてガンダーラまで

*日系という言葉のひびき愛すれば伝書鳩放つ東の空に

*羊水の目脂をふきてきてみても春の真午の母はかすみぬ

*秋の日に抱えて軽きわが鞄 アスピリン片と色鉛筆の芯




心の花8月号掲載(最初の5首) * 佐佐木幸綱選


サンパウロへ行きし友あり 渡り鳥になりて超えたし南回帰線


* お好み焼きアフリカトロロ混ぜてみる深い根のこと考えながら


君といて颯爽と追い越すトラックの屠殺場にいくらし豚の尻みゆ


うろたえる小鳥の影が乱舞するミラージュの過ぎし低き山々


口の中ころがしてみる鋭角の鯛の骨の危うさ愉快


ミニチュアの男女の集いて声だかにジャンとかポールの名前の聞こえ


クロワッサン買い求めんと外に出て救急の老女のペルソナ白く


ベルベルのアリを思う藍の空 青い民の悲しみに似て




プロフィール

石田 郁男

Author:石田 郁男
40年近く在仏。以前、小説を発表(88年「群像」新人賞受賞)。現在は翻訳業・商売人として会社経営(翻訳・貿易)。2012春から短歌を勉強。「心の花」所属。リヨン歌会「リヲンのつばさ」。

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